184話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者

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「はい。王都を出ることですし、領主様には報告しなければ」 「屋敷の手配も準備がいいと思っていましたが、まさか屋敷で宿泊することも」 「はい。ユウキ様は剣舞会に興味があるとおっしゃっていましたので、ヴァーリアル領での滞在は予定に入っていました」 「ですが、このようないかがわしい寝間着など着れません。ウィゼール。別の物を」 「しかし、この滞在中にユウキ様とより親密になるためには、こういうものの方が効果的です。彼は地位をあまり気にしていません。ならば男性の気を惹くためには、少々露出が強いお召し物が効果的です。この機会を生かすためにも」 「しかし、わたくしはまだ十五歳です。男性の心を惹くにはまだ早いです」 「ユーディー姫様。お役目をお忘れですか?」  と、扉の前で盗み聞きしていると、そこで会話が途切れてしまった。  お役目? なんのことだろう?   そう首を傾げてしばらく黙っていたけれど、会話の続きが始まらなさそうなのでドアをノックしてみる。 「こんな夜更けに誰ですか?」  と、厳しい口調のウィゼールの声に、思わず慌てふためいてしまう。 「す、すすみません。ユウキです。ユーディーと少し話がしたくて」  短い沈黙のあと、扉が僅かに開くとその隙間からウィゼールの桃色の瞳が覗く。  この世界では夜九時を回ると外が真っ暗なため、警戒心が強い。  ただでさえ手厳しいウィゼールの瞳に睨まれ、目を背けて狼狽えてしまった、 「部屋でしばらくお待ちいただけますか。すぐに支度をさせてお連れいたします」 「は、はい。わかりました」  怒られるかと思った。
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