184話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者

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 閉じられた扉をあとに、ほっとして自室へと戻ることにした。  豪華そうな調度品が揃っている広い部屋で一人、椅子に腰かけ、味のしない水を口にしながらユーディーを待つ。  人に怒られ、謝るということは久しぶりだったと、大聖堂でのことを反省していた。誰もが敬うものだから、ちょっと調子に乗り過ぎていた。ただの付き添いだったユーディーが跪いている場面が蘇る。  今まで順調だったのに、ここで彼女に嫌われたくない。  俺にべったりだったころの彼女を思い出し、初めて女子とイチャイチャとした高揚感が忘れられない。  ちゃんと謝ろう。そう気持ちを固めた。  しばらくしてドアがノックされ、ユーディーの声がする。  どうぞ――と言って目を向けると、唖然と言葉を失くしてしまった。  ノースリーブのワンピース。生地が薄手だからなのか、光加減で彼女の体のラインが薄っすらと浮かんでいる。 「夜分遅く申し訳ございません。わたくしに用があると」  と、顔を逸らし、胸に添えて挨拶した腕は下ろさない。恐らくワンピースの大きく開いている胸元を隠しているのだろう。  しばらく彼女から目が離せられなくなってしまった。 「……どうぞ座って」  我に返ると、恥ずかしそうな彼女にとりあえずそう言って椅子を促す。 「いえ。ここで大丈夫です。夜も更けていますし、話が終われば部屋へ戻りますので」  と、扉の前で固まったように動かない。すると開いたままだった扉がぱたりと静かに締まり、彼女が焦ったように驚いた。きょろきょろと挙動不審な態度が気になって声をかけてみる。 「どうかした? ユーディー?」
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