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185話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者
翌日、ヴァーリアル城へ向かったユーディーたちに取り残された俺は、ヒマを持て余していた。
マルセーヌの住む城、そしてその領主と夫人が気になってついて行こうとしたけれど、やんわりと断られてしまった。お互いに身分が高い者同士の挨拶。しかも敵対している領主とのやり取り。あまり見せられるものではないらしい。
女中らしい人たちがお茶の世話や話し相手になってくれるが、正直、今はユーディーと話がしたい。彼女と一緒にいたい。ふと、昨夜の恥じらう姿の彼女を思い出しては、顔がにんまりと緩んで仕方がなかった。
ユーディーの戻りが待ち遠しかった俺とは反して、彼女は貴族街にある図書館への入館を許してもらえたようで、早速出かけると言い出した。
また図書館! うんざりしつつも、ついて行くことにした。
ヴァーリアル領は元王都ということもあり、希少な本があるらしいとのこと。
「それでユーディーはなにを知りたいのさ。ずっと図書館ばかりに通っているけれど」
「魔力硬度についてです」
と、少し躊躇いがちに言う。
「せっかく、夏休みの宿題とかもないんだから、もっと気楽に過ごしたら? 街で羽を伸ばすとか」
そこはかとなく遊びに行くことを誘ってみる。
「ですが、ここは東側の領地。次、いつ図書館へ赴けるかわかりません。この機を逃すわけには。もしあれでしたら、イストレア領への馬車を手配いたしましょうか?」
ここで彼女と離れてしまっては、後期まで顔を合わすことがなくなるだろう。この夏休みの間に関係を深めるためにも、くらいついて行かなくてはいけない。
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