212話 よくある 閑話? 悩める戦姫

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212話 よくある 閑話? 悩める戦姫

 ありえないわ! なにを考えているの!   就寝時間のため、自室に戻ったわたしは怒り心頭していた。  マードリック王子は、なんとギルの剣術検証の相手にアルギニオを任命してきたのだ。  確か彼には現役だったころ、二つ名があったような気がする。  机にある本の中から『入学の手引書』を手に取り、学園の講師たちの項目へ目を走らせる。そこに寮監の名も載っていた。  アルギニオ――元王国騎士団長であり、『剛腕の騎士』と呼ばれる。などと紹介されている。  わたしは彼のことをよく知らないが、お父様がその強さについて語っていたことを覚えている。  現王国騎士団長のお父様は王国内で一番強い騎士だ。騎士を引退したアルギニオは、そのお父様が唯一敵わない相手だと言っていた。  そう。アルギニオは『戦斧の使い手』で、岩をも砕くと。  そのアルギニオと剣を交じり合わせれば、相手の剣を砕くと言っていた。  そんな彼をギルの剣術の検証相手にだなんて、なにを考えているの?   マードリック王子の頼みだと言っていたけれど、メイスター王子の入れ知恵に違いない。  想像しただけで腹が立つ!   身構えているギルなら、背後の攻撃は避けることは出来るだろう――一撃なら。
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