67人が本棚に入れています
本棚に追加
212話 よくある 閑話? 悩める戦姫
ありえないわ! なにを考えているの!
就寝時間のため、自室に戻ったわたしは怒り心頭していた。
マードリック王子は、なんとギルの剣術検証の相手にアルギニオを任命してきたのだ。
確か彼には現役だったころ、二つ名があったような気がする。
机にある本の中から『入学の手引書』を手に取り、学園の講師たちの項目へ目を走らせる。そこに寮監の名も載っていた。
アルギニオ――元王国騎士団長であり、『剛腕の騎士』と呼ばれる。などと紹介されている。
わたしは彼のことをよく知らないが、お父様がその強さについて語っていたことを覚えている。
現王国騎士団長のお父様は王国内で一番強い騎士だ。騎士を引退したアルギニオは、そのお父様が唯一敵わない相手だと言っていた。
そう。アルギニオは『戦斧の使い手』で、岩をも砕くと。
そのアルギニオと剣を交じり合わせれば、相手の剣を砕くと言っていた。
そんな彼をギルの剣術の検証相手にだなんて、なにを考えているの?
マードリック王子の頼みだと言っていたけれど、メイスター王子の入れ知恵に違いない。
想像しただけで腹が立つ!
身構えているギルなら、背後の攻撃は避けることは出来るだろう――一撃なら。
最初のコメントを投稿しよう!