212話 よくある 閑話? 悩める戦姫

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 知っていて、対戦の申し出を受けたというのだ。  ギルはアルギニオの剣術の恐ろしさに気づいていない。彼の戦斧を受けてしまうと、身体が砕けてしまうことに。だから、たとえ斬れない模擬戦用の戦斧でも、攻撃を受けることは許されないのだ。そしてそれは、触れて弾くことも出来ないのだ。  わたしの説明にギルは、なるほどと平然と頷く。 「じゃ全て避ければいいんだよ」  それが難しいから説得しているのだ。なのにどうしてわかってくれないの。だんだんイライラしてきた。 「リリーは相手が男子だからといって戦いを辞めないよね」  はあ? ――今、そんな話をしていないというのに。そう眉根が寄る。 「僕も相手が大人だろうと、勝負を申し込まれたから受けるよ」 「でも、今回の相手は危険すぎるわ。わかっているの?」 「リリーはウィードルドで、どうしてザッハとの勝負を受けたんだい?」  え? 不意の言葉に夏の長期休暇の出来事を思い出す。  明らかに剣術が格下だったザッハがわたしに勝負を挑んできた。彼の真剣な申し出を断ることが出来ず、何度も叩きのめしてやったのだ。 「アルギニオ様はマードリック様の申し出を断らずに、僕に戦う意思をちゃんと訊ねてくれたんだ。つまり、勝負を挑んできたんだ。それに僕は応えるんだ」
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