182話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者

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 入学当初は、ボクの――いや、俺のクラスの奴らが話しかけてくれたのだが、みんな、ファッションやアイドル、異性の話ばかりで、まったく楽しくなかった。俺はどちらかというと、外で走り回って遊ぶ方が好きだったからだ。だからクラスの奴らとはうまく馴染めなかった。  仕方がないので他のクラスへ行って悪友を誘ったのだが、そいつらはすっかりクラスに馴染んでいて相手にしてもらえなかった。  日が進むにつれ、次第に俺はクラスから浮いてしまっていた。気づけば周りに人がいなくなっていた。  そして気づけば夏休み。俺のスケジュールは白紙で、ずっと家でごろごろとしていた。  悪友に連絡を取っても、服を買いに行くやら、コンサートへ行くやら、カラオケに行くやら、俺には興味のないことに夢中になっていた。  二学期になると俺は教室の隅で、一人でいるだけになっていた。そして、学校へ行っても楽しくないので、次第に理由をつけて休むようになっていった。二学期が終わるころには不登校に。  すると、両親や先生、悪友たちが心配して声をかけてくれたが、友達がいないから学校へ行きたくない、そんなこと言うことが恥ずかしくて部屋から出なかった。  引きこもる生活を送るようになって二年が経った誕生日に夢を見た。  つまらなくなった人生をやり直してみないか?  と、神様と名乗る人物に言われたのだ。  しかしやり直すためには、異世界へ行く必要があると。  同じ星でやり直すと、ほかの人々の人生もやり直すことになるからだと。でも、異世界へ行けば、俺を必要としている世界へ転生させてくれるという。
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