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魔力を持っていないわたしは土の魔術が気になって、見学をしたいとお母様におねだりをした。
「丁度、今から屋敷の庭の活性化をするのですが、よろしければ」
と、ウィゼールから許しがでた。
二人のあとをお母様と共にお供する。すると第三婦人のお屋敷を見てびっくりしてしまった。
色とりどりのお花が敷き詰められているだから。
それはお屋敷を囲んでいる鉄柵にも蔓が伸び、そこにもお花が咲き乱れている。まるで物語に出てくるお花のお屋敷みたいで、美しいと興奮を隠せられずに声を上げてしまった。
これだけ多くのお花を育てるためには、たくさんの土の栄養が必要となってくるらしい。そこで魔力でそれらを集めるのだという。それも土の魔術の鍛錬の一つらしい。
「それではユーディー姫様。始めてください」
ウィゼールから指示を出された姫様は無表情で頷き、タクトを手に地を指した。
なにが始まるのかしら。わくわくとして見守る。
栄養を含んだ土が飛んでくるのかしら。それとも、もこもこと土が蠢くのかしら。
「よくできました」
とウィゼールが言うと、ユーディー姫様が大息をつく。見た目にはなにも変化がなく、わたしにはなにが起こったのかわからなかった。
そのあとも場所を変えて土の活性化が続けられた。ユーディー姫様の魔術は成功しているようだけれど、わたしにはその変化が目視できなかった。魔力を持っていないから? お母様に訊ねてみた。するとお母様もわたしと同じ思いだと言う。
わたしたちが首を傾げていると、ウィゼールがわかり易く説明してくれる。
火や水の魔術は、それらに必要になるものを空気中にある元素、わかりやすくいえば要素を眷属様の能力で集めて魔術にするのだと言う。そして、頭でイメージしたものが形となり姿を見せるらしい。
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