183話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者

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 わがままで自己主張が高いあのマードリックでさえ、女性であるにも関わらず、領地位一位のマルセーヌ姫やリリー姫には頭が上がらないのだ。  つまり、第一婦人に、領地位が低いユーディーと結ばれれば、その地位より上位の女子を娶ることが難しくなるのだ。  剣を振り回し、女番長みたいなリリー姫はいいとして、気立てのいいマルセーヌ姫とは、なんとしてもお近づきになりたい。  メイスターの言う通り、早まってナンデイーブ領へ書状を出さなくて良かった。  でも、彼はそれとなく俺の気持ちを広めてくれていたみたいで、魔術学校に入学してからは、ユーディーが俺のあとをくっついて回る。心変わりを心配しているのか、なんともいじらしいではないか。俺の腕を取り、身体を密着させて。ますます気に入ってしまった。特に肉付きのいいあの柔らかい体には、すっかり虜になってしまった。  もう彼女一人でも十分幸せじゃないだろうか。学園に入学してから数か月後そう思えてしまった。  なぜなら、東側の女子たちは意外とガードが固く、俺のことを囃し立ててくれるものの、マルセーヌ姫の側近であるイゼッタという女子がなにかと邪魔をしてくるのだ。ゲームだと、攻略しないといけないイベントみたいなものなのかもしれないけれど、なかなかに手ごわい。おまけに、たまに耳にするリリー姫の呟く独り言が、俺のやる気を失せさせる。
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