183話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者

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 まあ、無理する必要はない。だってあの豊満な体のユーディー一人で俺は十分に満足できる。  そう思い直して、ユーディー一択で責めることにした。  なんせもう少しすれば、最大のイベント、夏休みがあるのだから。  そこで青春をやり直して謳歌してやる。と、意気込んだのだった。  なのに今の状況はあまりよくない。夏のイベントが始まる気配すらない。  しかも、この王国には海がない。水着に着替えるという習慣がないのだ。  おまけに、山へ行くようなこともない。野獣や猛獣などがウロウロとしているので、そんなイベントも発生しない。  それでも救いなのは祭りがあることだ。  剣舞会――それは全領地を巻き込んでの、王都でも指折りの祭典だ。それに誘いたいのだが、図書室通いのユーディーを誘うチャンスがなかなかにない。以前、メイスターが取り持ってくれたけれど、彼女は剣術に興味がないようだ。しかも開催領地は仲が良くない東側の領地。気が乗らないみたいだ。  いくら俺が優遇されている世界だといっても、無理強いして連れて行くのは気が引ける。できれば喜んでついてきてくれる方がいい。そのほうが祭りも楽しめるだろうし。  そう考えを巡らせていた時だった。  図書館を出て帰宅しようとしていると、王城からの使いが現れたのだ。  剣舞会の副賞として国王様からドラゴンの牙が贈呈されるらしいのだが、その輸送の警護を頼まれたのだった。
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