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「ん、どうしたの?」 「……いや、ちょっと考え事してて」 「あはは、豊城くんは考え込むタイプだもんねえ。沈思黙考っていうんだっけ。でもそんなことしてる間にポテト無くなっちゃうよ?」  北灯は笑いながらポテトを一本摘まんで口に放る。  壁に掛けられた時計を見ると、時刻は午後五時十五分。僕は自分の能力が本物だと確信した。  時間回帰。いわゆるタイムリープというやつだ。 「ポテトが無くなるのは北灯が摘まんでるからだろ」 「まあそうなんだけどさ。でもね豊城くん、ポテトは死んだわけじゃないよ。このポテトは私に消化吸収され血となり肉となり、そして永遠となるのだ」 「なんだこのラスボス感」 「ふっふっふ」  再び雑魚キャラのような笑みを浮かべた北灯はまた一本ポテトを摘まむ。  僕はひとまず先程までのやり取りを思い出しながら、それをなぞるように会話を進めることにした。  バタフライエフェクトという言葉がある。  一匹の蝶の羽ばたきが長い時間をかけて竜巻を引き起こす、という例え話で、ごく小さな要因が非常に大きな事象を引き起こすきっかけにつながることを示唆する言葉だ。  何が要因となって僕たちの未来に大災害が降り注ぐかわからない。気をつけねば。 「豊城くんはどうして食べないの?」 「考えてたんだよ。このポテトを食べると夕飯が食べられなくなるんじゃないかって。もしくはベストコンディションで夕飯に臨めないかもって。ほら、空腹は最高のスパイスって言うだろ」 「いや考えすぎでしょ。ポテトくらいじゃ夕飯には何の影響もないから。それより早く食べないと無くなるよ?」  北灯と先程の会話をなぞりながら僕は今後どうするべきかを考えていた。しかし考えている間にもポテトの山はどんどん減っていく。  そしてあっという間に、五分が経った。 「あ、そういえば話があるんだけど」  彼女は最後の一本を口に放り込み、飲み込んだ。 「好きです。私と付き合ってください」  
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