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扉を開けた先には、洞窟が広がっていた。しかし、あの時とは違う。あらゆる岩石や石壁が色を持ち、宝石のように輝いている。
「すごい。こんなところがあったんだ」
僕は思わず目を見開いた。その美しさを目に焼きつけるように。
「白い空間の奥には、魅了するものがたくさんある。現実世界の人々は、平凡な世界を見て、何もないと判断する。実にもったいない。なにもない奥には、こんなに素晴らしい景色が存在するというのに。・・・いいかい、留衣。たとえ夢の中の記憶が消えたとしても、今まで歩み続けた道のりは決して消えることはありません。それは必ず、現実世界のきみに大きな力を与えてくれます」
腰をおろし、僕に目線を合わせたもう一人のルイ。
旅の記録が、記憶として身体中に流れてくる。夢の中で旅をした本当の意味を理解した。現実世界の自分に、自身と向き合う勇気と自分を信じる心をお土産としてもってかえること。
「ルイ。ぼく、覚悟ができたよ」
「それは良かった。・・・きみの宝石も輝いているようだね」
僕は、ポケットに入っている宝石を取り出した。
今まで磨き続けてきた僕の宝石。泥や濁りがなくなり、表面は鏡のように透明で透き通っている。無色の宝石だった。
———宝石の中に、僕の顔が綺麗に映っていた。
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