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A 突然だけど、私、好きな人が出来た。
B え?あぁ、それは、オメデトウゴザイマス。
A …。(不満げ)
B なんだ?
A …それだけ?
B は?
A 気にならないの?
B 何が?
A 私が恋した相手がどんなヤツなのか。
B 別に興味ないな。
A 法に触れてないか?とか、そもそも人なのか?とか!
詳しく根掘り葉掘り聞きたくならないの?
B …え?人じゃない可能性もあるのか?
A そ、それは…一応、人ですけどっ?(照れ)
B んじゃ、興味ないや。
A いや、もっと話を広げようよ!
B あれだろ?「好きな人が出来た」って報告して、
俺が「誰だ相手は!」って興味を持ったところで
「実はあなたでーす!」って告白する展開。
A えっ!はぁ?そ、そんなんじゃないしっ!
あんた、自惚れるのも、いい加減にしなさいよねっ!
B そうか。それなら、いいんだ。
なら、俺がその話題に興味がなくても問題はないな?
A いや、それは…うぅ、ごめんなさい!
実は、私が好きな人は…B、あなたでーす!
B あっ、そう。
A 薄っ!反応薄ーっ!!
B おまえが、俺のことどう思ってるのかなんて、だいたいわかってたし。
A なんだ、両思いじゃん!ハッピーエンド!
めでたしめでたし!
B それはない。
A えぇー?これは、そういうフラグでしょ?
B 今までの会話で、俺がおまえのことを好きだと勘違いできる要素が
あったのなら、むしろ親切丁寧に渾身誠意を込めて、
俺が教えてもらいたいぐらいだ。
A んー、まぁ、そんなピリピリしないで。
今日は、そんな素直になれない君のために
素敵なモノをご用意いたしました!
(効果音:こっくりさんアプリ起動)
じゃーん!こっくりさんアプリ!
B こっ…こっくりさん…アプリ…?
A こっくりさんてさ、昔はプレイに縛りがあったり、
事前に色々準備が必要で、初心者が始めるには敷居が高かったじゃない?
でも、これなら、スマホでお手軽に降霊が完了できるの!
B …バカには、敷居が高いままの方がよかったのでは?
A 大丈夫!口コミ満足度も高いし、ちゃんとしたこっくりさんだから!
B こっくりさんに、良いも悪いもないだろ。
はい、解散。
A でもさ、これ、二人以上じゃないと遊べないんだよ。
だから、お願い!協力して!
B やだよ。
A ちょっと指だけ貸してくれれば良いから!
ね!先っぽだけ!
B しつこいな!
A …あ、もしかして、お化けとか、呪いとか気にするタイプ?ぷぷぷ!
B はぁ?
A はい!隙あり!すかさず登録っ!
B あ!おまえ勝手に!
A はい、これで、降霊完了っと。
あ、スマホから指を離したら速効で呪われるから。
B はぁ!?呪われるのは、おまえ一人で十分だろ!
おい、強制終了はないのか?
A えー!好きな人のことを知りたい乙女心はいつも急発進!
キャンセル不可だよぉ!
じゃあ、まず、最初の質問ね。
「こっくりさん、こっくりさん、あなたのお名前は?」
B わっ、なんだ、勝手に指がフリックされるだと!?
A 「私の名前は…こっくりさんです」だって!
すごい!やっぱり、これ本物だよ!!
B おまえが勝手に動かしてるんだろ。
A そんなことしてないもん!
B いいや、絶対動かしてるね!
A 疑ってるの?じゃあ次の質問!
「こっくりさん、こっくりさん。
Bのスマホの検索履歴を教えてください!」
B は?やめろよ。
A これであんたのヤバい性癖が大公開!
B 人の個人情報を勝手に流出させんなよ!
A でも、こっくりさんを信じてないんでしょー?
B そ、そうだけど…。
A じゃあ、問題ないよね!
あ、動いた、動いた!なになに?
「家庭教師、放課後個人レッスン…」
うわっ、あんた、こういうのが趣味なの!?
B わーっ!マジかよ!今すぐやめさせろ!
A「…時給の良いバイト、未経験可」
って、真面目か!ただのバイト求人情報じゃん!
B くそっ、俺の秘密が…!
てか、普通に当たってて、怖いんだけど!
A だから、こっくりさんは本物だって言ったでしょ?
じゃあ、次、最後の質問ね。
「こっくりさん、こっくりさん、Bは私のことをどう思ってますか」
B …それ、今さら聞く?
A 大事なことだもん!まぁ、黙ってみてなさいって。
B …おい!
A 見て!動き出した!「…す」!?
「す」の次は「き」よね!?
たぶん、きっと、絶対そう!
やっぱり私たち、両思いだったんじゃん!
もぉ~、素直じゃないんだから!
B うっ…そんな、まさか…。
A 「す…ス・ト・ー・カ・ー」?あ゛ぁ?
B …!
A 私がストーカー…!?
やだ、これ、全然当たらない!
B いや、現に俺は、おまえに無理やり拉致・監禁・拘束されてるからな?
指一本しか動かせない状態。これ、十分犯罪だぞ。
A 刺激は二人の恋のスパイスよ。
B おまえの頭のなか、どんだけお花畑パラダイスなんだよ。
A ひっどーい!何よそれ!ぷんぷん!
B …あ。
A あ?
B スマホから、指、離した。おまえ呪われるぞ。
A こんなインチキアプリ、今さら。
(スマホが勝手に110に緊急通報する)
A え?なんで?勝手に110通報されてる!
やめて!何するの!これって、こっくりさんの仕業!?
B (スピーカー通話)…あ、もしもし。警察ですか?
ストーカーに、拉致監禁されてます。助けてください。
場所は…えっと…どこだここ…
あ、こっくりさん、住所だしてくれるの?便利だな!
あ、すみません。こっちの話です。はい。
(パトカーのサイレンが聞こえてくる)
A ねぇ、ちゃんとBからも警察にちゃんと説明してよ。
「これはいたずらでした」「スマホの誤作動なんです」って!
こんな、人様に迷惑をかけるような真似して、
どうなるかわかってるの!
B …あ、こっくりさんが
「ここまでの脅迫・恐喝・強要の発言はすべて録画済み」だとさ。
A きぃぃぃぃいっ!!このインチキアプリめ!
(警察に保護&事情聴取をされたあと、帰宅したB)
B はぁ…しかし、通報どころか、証拠もしっかり押さえておくなんて、
たいしたアプリだったな。
おかげで事情聴取がスムーズだったわ。
(メッセージ着信バイブ音)
…ん?未承認ユーザーからメッセージ?
「あ・な・た・を・に・が・さ・な・い…」
…あのストーカー女か?
いや、あいつはまだ、事情聴取中で拘束されているはず。
(効果音:こっくりさんアプリ起動)
…な、なんで…?俺のスマホにこっくりさんアプリが?
アプリをインストールしていたのは、あの女のスマホだし、
俺は正しくアプリを終了しているはず。
いまさら呪われる理由なんてないだろ。
あ…そうだ…シャットダウン!
(効果音:エラー)
くそっ…!せっかくストーカー女から逃げれたっていうのに!
「こ・れ・で・じゃ・ま・も・の・は・い・な・い」
「こ・う・れ・い・か・ん・りょ・う」(降霊完了)
「お・つ・か・れ・さ・ま」(お憑かれさま)
(効果音:人生シャットダウン)
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