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毒殺されました
「お姉様、死んでちょうだい」
妹のマナは、そういってからにっこり笑った。
その笑みは、彼女が子どものときからわたしを魅了した可愛らしい笑み。
「苦しいでしょう?焼けつくような、刺すような、突かれるような、そんな痛みでしょう?」
彼女の美しい顔に、さらに笑みがひろがった。
たしかに、彼女の言うとおりだわ。
体中が痛い。焼けるようでいて、刺すようでいて、突かれているような。
く、苦しい。これが死ぬほどの苦しみ、というものなのかしら?
意識と目がかすんできた。
薄れゆく意識の中、彼女の横にテリーが立っていることに気がついた。
わたしの婚約者テリー・ライアット。ライアット侯爵の次男。
さすがのわたしも、気がつかざるを得ない。
わたしは、いまから死ぬのだということを。
そして、わたしの意識はなくなった。
この日、わたしは毒殺された。
妹と、わたしの婚約者によって……。
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