テリーしゃべりまくる

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テリーしゃべりまくる

 えっと……。  つまり、妹がわたしの体に入ってるってこと?  つまり、わたしたち、おたがいにいれかわっちゃったってこと?  なるほど、としかいいようがない。  それで?情熱的すぎる?  ふーーん、としかいいようがない。 「メイフォード伯爵は、急に馬にちかづかなくなったきみに立腹されていてね。毎日、大げんかをしている。それから、夫人も同様だ。ミナ自身は、きみとぼくとの関係に気がついたようだ。だからきみが別荘に逃げたんだ、と怒り狂っている。王都にもどってきたら、きみを殺してやるとまでいっている」 「なんですって?」  叫んでしまった。  それはそうでしょう?  だって、わたし自身が毒殺されるのを防ぐために別荘にきたのに、いまはわたし自身がこのわたしを殺そうとしている?  厳密には、ミナになった妹が、マナになったわたしを殺そうとしている?  ということは、妹はわたしといれかわっていることをしっている、と? 「もしかすると、彼女はメイフォード伯爵夫妻もどうにかしてしまうかもしれない。まっ、そこはぼくはどうでもいいけどね。夫妻がどうかなれば、遺産が手に入るだけだし。ああ、婚約はこのままつづけることにするよ。彼女、いまはけっこういいんだ。だけど、きみとの関係もつづけたい。だからマナ、王都に戻っておいでよ。心配ない。王都のどこかの貸し部屋で潜んでいれば、彼女にみつかることはないし、ぼくとの関係もつづけられるから」  はい?  なにをいっているの、このバカたれは?  だまってきいているけど、かれがこんなに身勝手で救いようのないバカであることをひしひしと感じてしまう。 「さあ、王都へかえろう」  かれには、眼前にいる人や馬がみえていないのかしら?  こちらへちかづいてくる。右手を差し伸べ、一歩、また一歩とぬかるんだ道をすすんでくる。 「無礼な男だな」  そのかれのゆく手をはばむように、ナダルがメランをすすめた。  たしかにテリーは無礼すぎるけど、侯爵様の馬丁がそんなことをいっていいのかしら? 『コホン』  そのとき、侯爵様がちいさな咳ばらいをした。  その咳払いで、ナダルははっとしたみたい。  すぐにメランを脇へとどけた。
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