王都にもどってきた

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王都にもどってきた

「ば・て・い・のナダルです。お二人のお噂は、かねがねうかがっています」  ナダルったら。そんなに強調していわなくっても、ミンもラスカもそんなにお年寄りじゃないわ。 「ところで、頼みがあります。というわけで、わたしはしばらく留守にします。その間、ときどき屋敷をのぞいてもらえたらありがたいとのですが」  もちろん、その間の手間賃は支払います、と侯爵様はつけ加えた。 「も、もちろん、よろこんで様子をみにまいります。それよりも、お嬢様のことをお願い申し上げます」 「侯爵様、お嬢様のことを……」  ミンもラスカも必死になってくれている。 「大丈夫。安心して下さい」  侯爵様は、何度もそういっていた。  王都からもってきたトランクをとりにいってプルルスにくくりつけた。 「二人とも心配かけてごめんなさい。またもどってくるかもしれないから、別荘のことお願いします。それから、二人とも体に気をつけてね」 「お嬢様こそ。なにかあったら、すぐにご一報ください。飛んでゆきます」 「お嬢様こそ、お体にお気をつけ下さい」  ミンとラスカに抱かれ、思わず涙ぐんでしまった。  別荘と二人に別れをつげ、王都へと急いだ。  道中、二人はつねにわたしのことを気遣ってくれた。  王都までは、馬や馬車で一日もあれば充分にゆける距離。暗くなるまでにはもどることができた。 「なにかイヤな予感がするんだ」  わたしがメイフォード家の屋敷へゆこうとすると、ナダルがいった。 「ナダルのいうとおりだな。ミナ。きみの屋敷ではなく、わたしの屋敷へゆこう。こじんまりとしているが、なんの情報もないいまなら、そちらのほうが無難だろう」  というわけで、侯爵様の王都にある屋敷にお邪魔することにした。  ナダルの予感は的中していた。  あろうことか、妹はわたしに指図され、お父様とお母様を毒殺したと自供したという。そのため、屋敷で役人たちがまちかまえていたのである。  あのままのこのこかえっていったら、問答無用で捕らえられたにちがいない。  侯爵様の王都のお屋敷は、そんなにおおきくはないけれども辺境のそれと同様きれいに整えられている。  裏庭にはちゃんと厩もあるから驚いてしまった。  管理は、人を雇ってやてもらっているらしい。 「さてさて、どうしたものか」 「まずは、ミナの潔白を証明しないと」  侯爵様とナダルは、額をよせあって話をしてくれている。
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