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そして迎えたお迎えの日。私は店員から餌やペット保険やマイクロチップなど諸々の説明を受けた後、チワワを引き渡された。私の手元に訪れたチワワはしっかりとシャンプーをされたのか、ふさふさとした毛並みでいい香りがし、抱き心地もよかった。
「よし、お前は今日からウチの子だ」
さて、名前をどうしようか? 見た目だけなら「チョコ」なのだが、犬に付ける名前上位であるために安易すぎる。世界各国の「チョコレート」の呼び方のどれかに肖ろうとしたのだが、いずれにせよ「チョコ」の呪縛からは逃れられないために却下。
この毛並みは「チョコタン」と言う。タンとは目のことらしい。本来の目の上に白なり茶色の斑点がついており、それがタン(目)に見えるからチョコタンとのこと。
今、私の胸元でクンクンとニオイを嗅ぐこいつの第三第四の目は真白なるもの。茶色と白の毛並みが混じってココアっぽい、だからと言ってココアも安易すぎるために却下。
「チョコレート…… ブラウニー」
私の中に雷鳴的な閃きが降りてきた。たまたま思いついたチョコレート菓子の名前である。
ブラウニーは、外国では「妖精」と言う意味がある。日本で言う所の座敷童子だ。外国の伝承では部屋を散らかしたりと結構なヤンチャ者らしいが、悪い意味ではない。私は名前を決めた。
「よし、今日からお前はブラウニーだ!」
ブラウニーは くい と、首を横に傾げた後、呼応するように「ワン!」と叫んだ。
よろしくな、ブラウニー。
ブラウニーとの生活は楽しいものだった。具体的に何が楽しいかと説明すれば日が昇り繰り返す程の時間を消費するためにやめておこう。一緒にいるだけで楽しい。それだけで十分だ。それに成犬になっても2キロ前後の体重であるために小さくて可愛い。一日中見ていられるぐらいだ。お迎えした当初こそ「誰だこいつは」みたいな感じで嵐のように吠えられたり、こそこそと部屋の隅に逃げられもしたが、慣れた今となっては私の胸の上に乗ってペロペロと顔を舐めてくるぐらいだ。
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