わたしたちが追放された理由

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 姉のグラティアの髪質はストレートで、瞳はわずかに吊り目。  妹のクラーラはふわふわのウェービーヘアーで、大きな瞳は少し垂れ目。  しっかり者の姉と、のんびり屋の妹として、有名な姉妹である。  友人たちがグラティアへ疑問と不安を混ぜたような視線を向けてくる。  グラティアは眉をひそめ、首を横に振った。 (不器用なクラーラが他人に嫌がらせをするなんて、天地がひっくり返ってもありえない)  それに、アリシアとは交流すらない筈だ。  グラティアは口を開こうとしたものの、相手は三大公爵家の令息。  自分が出ていけば状況は悪化するだろうと、唇を噛んで言葉を飲み込んだ。  一方でイーザックは稲妻を落とすかのように大声を張り上げた。 「この期に及んで言い訳とはみっともない!」  イーザックの傍らでは男爵令嬢のアリシアが、不安そうな眼差しで立っている。  明らかにクラーラとは違うタイプの女性だ。  視線が合いそうになってグラティアは顔を逸らす。 (宣言したとはいえ、まだ婚約破棄は成立していないというのに。みっともないのはどちらなのかしら)  グラティアはドレスの裾をぎゅっと握りしめた。  ついに耐え切れず、一歩前に進み出る。 「お待ちください、イーザックさま。クラーラは言い訳などしておりません。せめて、妹の言葉に耳を傾けてくださいませんか」
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