わたしたちが追放された理由

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* * 「クラーラ。君との婚約はこの場をもって破棄する」  公爵家主催の華やかな夜会。  その最中の、出来事だった。  伯爵令嬢のグラティアは、遠くから聞こえてきた突然の婚約破棄に耳を疑った。  それまで友人たちと談笑していたが、不穏な宣言の方向へ視線を向ける。 「君はアリシアに嫌がらせをしていたようだな。そんな人間だとは思わなかった」  よく通る声の主は、公爵令息のイーザック。  そして、クラーラというのは、グラティアの妹なのだ。  和やかだった夜会の空気は一変して、今や人々の関心はイーザックたちに注がれていた。  クラーラの婚約相手であるイーザック・シュレヒトは横柄さでよく知られている。ところが公爵(シュレヒト)家の力の強さのせいで、誰も物申すことができない。  一方で淡いピンクのドレスがよく似合う、小柄でぽっちゃりとしたクラーラ。  おっとりとした性格で、イーザックに冷たくあしらわれてきた。  なんとか彼に好かれようとがんばるものの、うまくいっていないことをグラティアはよく知っている。 「ア……アリシアさんに嫌がらせなんて、したことはございません……!」  クラーラの、普段はほんのりと紅く染まっている頬が色を失っている。  体は小刻みに震えていた。  グラティアとクラーラは、淡い金髪と碧色の瞳の持ち主だ。
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