朗報

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 それから一ヶ月が経過して所長の心配が杞憂に過ぎなかったことが判明した。  僕の年齢は検査の結果、およそ58才と推定されて、研究所にいる間に急激に増えることはなかった。  監視のために僕の部屋にいつも来ていた職員もあまり来なくなった。  所長と話している間にモニターを見ても僕の姿が映ることもなくなっていて、世間は僕に興味を示さなくなったように思った。  今までは頑なに外出禁止だったけど、敷地内なら休憩時間に出てもいいと外出許可が出された。  所長との会話も検査も、最初の頃に比べて厳しさがなくなり、弛緩した空気が流れていた。  いつものように所長室で質問に答えていると、後方のモニターに見覚えのある人物が映っていた。  そこには、なっちゃんの姿があった。
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