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近所のなっちゃん
その光景を近所に住んでいる、小学生になったばかりのなっちゃんこと奈月ちゃんが見ていた。
なっちゃんが口を大きく開けて、目を点にして上を見ながら僕に手を振っていた。
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
「僕がどこに行くのか知りたいぐらいだよ」
僕の体は一軒家や電線を越える距離まで上昇したけど止まらなかった。
さらに上昇して、足の速度も上がって行った。
僕は少し気持ちが落ち着いた頃、どうやら駅に向かっているということに気づいた。
駅舎よりも高い所にいる場所から乗りたい電車が見えて、この電車に乗れば間に合うと思った。
僕は早く地上に降りて電車に乗らないといけないと足をバタバタさせて焦るけど、高度は全く下がらなかった。
「電車に間に合わない。もう降りたいのに」
電車が発車するのが見えて、間に合わなかったとうなだれていた。
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