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なっちゃんとハンカチ
首を傾げて後ろを見るとそこには、おでこを怪我しているなっちゃんがいた。
「なっちゃん、なんでここに?」
「お兄ちゃんがお空に飛んでいって、お空からハンカチが落ちてきたから、落とし物届けなくちゃと思って、お家で待っていたの」
僕はなっちゃんと話しながら、ジーンズの腰の部分を触ると縫い付けられたハンカチがなかった。
空を飛ぶのにあわてふためいて体を動かしたので、ハンカチが落ちたのだと思った。
「ハンカチを届けてくれてありがとう。その怪我はどうしたの?」
「すぐに届けようと思ったら、お兄ちゃんのお家に人がいっぱいで転んだの」
なっちゃんが僕にハンカチを渡す所を、多くの記者がカメラで撮っていた。
「少女と空を飛んだことは関係が?」
「なっちゃんは関係がないです」
きっぱりと僕は言ったけれど、カメラのシャッター音と質問は終わることがなく続いた。
「怪我をしてまでハンカチを届けてくれて本当にありがとう。ここは危ないから避難してね」
なっちゃんは純真無垢な優しい笑顔で頷いた。
「どうやって空を飛んだのですか?」
記者が僕となっちゃんの間に割り込んできた。
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