なっちゃんとハンカチ

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 真実を追求するのが自分の使命であり、正義は自分にあると確信しているような姿勢に嫌悪感を抱いた。  なっちゃんが怪我をしたのは、記者達のせいかもしれないと思って怒りの念が生じた。  その時、黒塗りの高級車が脇道から出てきて、中から肩幅の広いがっしりとした三人の男が現れた。  一人の男が僕の前に立ち、残りの二人は記者達に下がるように説得していた。 「警察です。葉山(はやま)壮一(そういち)君、君を迎えに来ました」 「僕を迎えに? どこに連れて行くのですか?」 「今ここでは言えないが、安全な所です」  僕は空を飛んだからには何か問題が生じると思っていたけど、関係ない人を巻き込むわけにはいかないと思った。 「なっちゃんを避難させてくれるなら行きます」 「なっちゃん?」  僕がなっちゃんを指差すと、わかった、他の者に避難誘導をさせると言った。  男が声をかけると、他の人がなっちゃんの元に行って、避難をする話をしていた。  僕はどこに連れて行かれるのか強い不安があった。  でも、このまま記者の質問攻めに遭うのは大変だということと、警察から逃げるのは無理だと思って素直に従った。
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