2.再会

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「せ、泉里さ――」  しかし舞衣の言葉は続かなかった。  身体がふわりと浮き上がり、一気に視線が高くなる。 「えっ、あっ……!」  背とひざの下が力強い腕に支えられ、抱き上げられているのだと気づいた瞬間、舞衣は驚きを通り越して頭が真っ白になった。  かあっと頬が熱くなる。  今起こっていることが、信じられない。  だって、今、わたし…… 「申し訳ありません、父上。少し席を外させて頂きます」  早口にそう断って、泉里は舞衣を横抱きにしたまま縁側に出た。  そこから庭を突っ切ると、あっという間に、舞衣は透き通った水を(たた)える庭池へと連れて来られていた。  身体を下ろされたかと思うと、泉里は急いた口調で舞衣に言ってくる。 「湯がかかっただろう? 早く冷やせ!」 「は、はい」  言われるがままに、舞衣はあわてて腕を庭池に(ひた)した。  冷水に触れたことで、ただれるような痛みが少しずつ弱まっていく。 (冷たくて、気持ちがいい)  無意識のうちに、舞衣はほっと安堵(あんど)の息をついていた。  しばらくそうした後で、舞衣は腕を確認した。  すぐに冷やすことができたからか、先ほどよりも痛みはかなり収まっている。  赤みとしびれは少し残ったが、水ぶくれにもなっておらず、数日もすれば完全に治るだろう。  舞衣を心配して、泉里が声をかけてくる。 「大丈夫か? 熱かっただろう。痛みは?」 「はい、大丈夫です。ありがとうございます。もうそれほど痛くないので、すぐ治ると思います。あの……泉里さま。ご迷惑をおかけしてしまって、本当に申し訳ありませんでした――」  深々と頭を下げる。  じわじわと胸の底から込み上げてきたのは――罪悪感だった。 (わたしなんかが、邪魔をしてしまった。せっかく、楽しそうにお話しされていたのに……)
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