貴方と君

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貴方と君

 ピンポーンっとインターホンを鳴らせば、貴方がドアを開けてくれる。いつもの優しい笑み。久しぶりの貴方にわたしは気まずくなると、貴方は何も言わず中に入れてくれた。中に入れば、部屋は荒れていて、強盗にでも入られたのかというぐらい汚れ切っている。 「これ、どうしたの……」  気づけばそう聞いていると、貴方はへらへら笑いながら「ちょっとね~」と言った。そう言ってまた誤魔化す。嘘をつく。結局、別れてからも貴方は本当のことを教えてくれない。別れれば、貴方は嘘をつかなくて済むと思っていたのに。やっぱりわたしの存在が、貴方に嘘をつかせてしまっている。そう思うと、自分に腹が立ってきた。 「じゃあ、荷物纏めるね」 「手伝おうか?」 「大丈夫。貴方は、をしてればいい」  わたしはそう言うと、貴方を見た。貴方はわたしを見て、それから困ったように笑う。一年も同棲して、その前に二年も付き合っていたわたしが気づかないとでも思っていたのだろうか。 「気づいてたんだ」  貴方は今気づいたようにそう言うと、わたしは「最初から知ってたくせに」とぶっきらぼうに言う。それを聞いて、貴方が顔を引き攣らせると苦笑いを浮かべた。 「いつから気づいてた?」 「同棲してから」  わたしは荷物を纏めながらそう言うと、貴方が「そっかぁ」と言う。 「のぼくを放っておいて、酷い女だなって思った?」 「別に」 「わたしは思うよ、つくづく酷い女だなって。でも、貴方がそれを望んでいるような気がしたから」 「ご名答」
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