迫る決断

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「コラ! あんたテレビばっかり見てないで少しは勉強をしなさい!」  俺がテレビに釘付けになっていると、母ちゃんがリモコンを操作して、勝手にテレビを消した。 「何するんだよ! 母ちゃん! 今いいところなんだから消すなよ!」  俺は母ちゃんに向かって、文句を言うと、 「あんた明日からテストでしょうが! また0点をとるつもり!」 「今度はちゃんと勉強はしてるって!」  俺は笑みを作った。 「え~本当?」 「だから、母ちゃんリモコン貸してくれ! もう少しだけテレビが見たいんだ! 今本当にいいところなんだよ!」  すると母ちゃんは目を細めて、俺をじっと見つめた。 「嘘おっしゃい! あんたが笑った時はあんたが何を考えているかなんてもう母ちゃんにはお見通しなんだから!」 「え?」と言葉に詰まると、「ほらほら! どうせ図星だったんでしょうが!  あんたの考えていることなんて手に取るようにわかるんだからね」と頭を(はた)かれた。 「痛いな! 何すんだよ!」 「いいから早く勉強しなさい」  母ちゃんはそう言って、リモコンを持って台所に行って晩飯の準備を始めた。
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