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コツ、コツ、コツ……。
自分の方に近づいてくる、二人の足音。
なんとも言えない恐怖が、Tさんの全身を包む。
コツ、コツ、コツ。
見えていないが、すぐ傍まで二人が来たことが分かった。
そして耳元で、あの甲高い声が響く。
「大丈夫!わたし、見えてる人にはなにもしないから!」
「そうそう!安心して!キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
長い、長い笑い声。
目を閉じてじっと耐えていたTさん。
永遠に続くかと思われた笑い声が止んだのは、
「お待たせいたしました。間もなく、運転を再開いたします」
という、アナウンスが流れたときだった。
おそるおそる目を開けると、どこにも、あの女の子たちの姿はなかった。
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