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(えっ!)
と思ったその時には、掛け布団の上から修平さんに跨られていた。
彼はまるで私を閉じ込めるように、布団の上から両手足を着いている。
無言のまま見下ろす彼の整った顔には、何の感情もうかがえない。
見たことのない彼の冷たい瞳に、背筋がぞっくっと震えた。
ゴクリと唾を飲み込む音が、やけに大きく聞こえる。
「今、言ったことって、杏奈の本心?」
冷たい瞳をスッと細くめた彼が、低い声で私に問いかける。
なんて答えて良いのか分からなずに黙っている私とは逆に、修平さんは畳み掛けるように言葉を続ける。
「本当に自分が俺に相応しくない、と思ってる?」
「杏奈はどうして自分が俺に相応しくない、って思うの?」
射るような眼差しを向けているのに、その口調が坦々としていて、かえって怖い。
獰猛な獣に捕まって、捕食される一歩手前の小動物のように、体が小刻みに震える。
「あ、あの……」
何か言わなければ、と必死の覚悟で口を開いたけれど、私の言葉なんてそもそも聞く気がなかったように、修平さんは私の唇を指先でそっとなぞった。
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