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それからしばらくの間ベッドの中で呆然としていた私は、そのまま眠れるわけもなくベッドから出た。
(ちゃんと寝ててって言われたけど……こんな状態で呑気に修平さんのベッドで寝てられるわけないよ……)
ふらつく足を何とか床につけて、壁に手を着きながら一歩ずつ進む。
リビングのドアを開けて中に入ると、居ると思っていた姿は見当たらなかった。
「修平さん……?」
呼ぶけれど返事はない。
いつもなら私がリビングに行くと寄ってくるアンジュの姿もない。
「アンジュ?……修平さん?」
何度呼んでも返ってくるのは静寂だけ。
廊下に出て呼んでみても同じことだった。
玄関に行ってみると、修平さんの靴とアンジュのリードが見当たらなかった。
「……外に行ったの?」
ポツリと呟いた声が、暗闇に滲んで消える。
広い家に一人きり。
この家に来てから、初めてのことだった。
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