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「手のひら?」
「そう。私たち季節の神々は次の町へと旅立ちます。けれどあなたはこの街の春待ち。ずっと人々の手のひらの中で、小さな希望と優しい期待を育み続けるのです」
そうして春が満ちるその前に、春一番の嵐と共に私はキラキラ煌めく光となって、この町の人々の手の中にすっぽりと収まりました。
冬将軍が再び来る頃には、
あの厚い扉を閉める頃には、
既にあなたの胸の中で、私の温もりが灯るはず。
三ヶ月後にやってくる春の神様を待ちましょう。
暖かく優しい暖炉の前で待ちましょう。
それでも寒さが堪える日には、そっと手のひらを擦り合わせて。
私はいつでもあなたの手のひらの中にいますから。
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