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episode.2
そう聞かれて、僕は何も答えなかった。
だって、「気になったから聞いていた」なんて言えるはずないだろ。
「なぜ、何も答えないのですか?私の余命に関係でもあるのですか?」
余命。その言葉を聞いて、僕はこう答えることにした。
「僕も、余命があるんだ。」
「...余命?まさか...、あなたも余命宣告されたのですか?」
「うん、余命1ヶ月。」
「1ヶ月...、私よりも短いですね。」
しばらくの沈黙。
その沈黙を破ったのは、少女だ。
「あの...、その残った1ヶ月の間、私と過ごしませんか?」
「...え?」
てっきり、余命のことでも聞いてくるのかと思いきや...
「私、恋愛をしたことがないのです。だから、あなたが私の恋人になってください。」
「いわゆる、死んでしまう前に恋愛をしたいってこと?」
「そういうことです。」
「まぁ...、別にいいよ。1ヶ月しか無いけど。それでもいいんなら。」
「はい、いいんです。一生に一度、愛せる人がいれば。」
「へぇ...」
こうして僕と少女は恋人同士になった。
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