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episode.7
僕には神様の贈り物なんかいらない。
僕はどうせ1ヶ月しか生きられないのだから。
だから。だから、僕はあかねにだけ贈ってほしかった。
あかねが3ヶ月よりも長く生きられるのなら死んでも僕は後悔しない。
あかねと一緒に僕の家へ向かう。
...ん?何か向こうから誰か走ってくる...。
「...かね!あかね!」
ハッ...
−あかね。
確かに向こうから走ってくる人は言った。
とうの本人は聞こえていないみたいだけど。
やっと、向こうから走ってくる人の顔が見えた。
その顔は...
真っ黒に染めてある髪、茶色の目、真っ白な肌。
誰がどう見てもイケメンの類に入るルックスだ。
その人は叫んだ。
「あかね!あかね!」
さすがの本人も声に気がついたらしい。
あかねは目を見開いた。
なぜかひどく嫌そうな顔だ。
「せ、千海(せんか)...」
「あかね!やっと見つけた。ほら、帰ろう。」
そう言われたあかねはなぜか嫌そうだった。
「...嫌。帰らない。」
「...何を言ってるんだ?あかね、どうしたんだ!?それにこの男は誰だ!」
「...誰って。あなたには関係ないでしょう?」
「...関係ないだと?あるに決まってるだろ!」
「あるなら、私とこの人の関係を言うわ。」
「なんだ?」
「恋人よ。最初で最後の。」
「...恋人だと!?あかねの恋人は俺だろ!?」
「いいえ、違います。あなたとは親の政略です。私が、心から好きだと思えるのはこの方しかいません。」
あかね...
「じゃ、じゃあ!愛し合っているのか!?」
「はい、愛し合っています。ね、侑里。」
「うん、そうだよ。あかね。」
「...あかねだと?気安くあかねと呼ぶんじゃない!」
「はい?自分から呼び捨てで呼び合おうと言ったのです。侑里に非はありません。」
「おい!お前!侑里とか言ったな。あかねはな、日本の大企業会社の桜衣花グループのご令嬢なんだぞ!」
「...だから?」
「お前みたいな平民が一緒にいるような相手じゃない!今すぐ別れろ!」
「はぁ...。言っときますけど、別れる気なんてさらさ無いんで。僕は、あかねを絶対に手放しません。」
僕は初めてこんな事を言った。
でも、初めてがあかねで良かったと思っている。
僕の全ての初めてがあかねであってほしい。
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