10人が本棚に入れています
本棚に追加
episode.9
あかねが「千海(せんか)」という人に言い返して、僕はあかねに「行こっ」と言われたので、今、僕達はしし座流星群が流れていた空の下を歩いている。
「あかね、すごいね。」
「え?何が?」
キョトンとした目で僕を見つめてくる。
「さっきのだよ、言い返してたやつ。」
「あぁ、あれね。すっごい無理やりだったの、あの人と付き合えって親がね。
私、ちっとも好きじゃなかったのにさ。でも、さっきあの人に言い返せたのも侑里のおかげだね。侑里がいなかったら、言い返せてなかった。ありがとう、侑里。」
「いえいえ」
「...たった、17歳しか生きれなくても私がこの世に生まれてきたのは、全部侑里に出会うからだったのかな。」
「うん、そうかもね。僕が17歳しか生きれなくてもこの世に生まれてきたのは全部全部あかねに出会うからだ。」
「...うん。そうだね...。」
あかねは頬を赤らめて言う。
「死ぬ前にあかねに出会えてよかった。初めての彼女があかねで良かった。 初めてハグしたのがあかねで良かった。初めて恋人繋ぎしたのもあかねで良かった。」
「...侑里の初めて、私でいっぱいだね...。」
「僕の初めてを全部全部あかねにあげる。」
「...じゃあ、私の初めても全部侑里がいい。」
あかねは、頬を真っ赤にして恥ずかしそうに言う。
「...あかねの初めては全部僕ね。」
「...うん」
チュッ...
「キスも僕達初めてだよ。」
「...そうだね...!」
あかねは笑ってた。とても幸せそうに。
僕も笑ってた。幸せだから。
「...私、死にたくないや。侑里とずっと一緒にいたかった。」
「...僕が死んでも天国からあかねを見てる。だから安心して?」
「私が先に死にたかったな...、」
「...あかねがいない世界なんて考えられないよ。」
「...今は、今だけの幸せの時間を味わおう。」
「そうだね...」
チュッ
僕達はまたキスをした。
「あかね、次、僕達が生まれ変わったら結婚して?」
「...もちろん、喜んで!」
僕達は空の下にいる。
僕達の上にある空には、しし座流星群が流れていた。
最初のコメントを投稿しよう!