梅雨 悲しみの鮭茶漬け

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「おい、どうするんだ」 「どうする……と言われましても、泣き続けられてはこちらもどうしようもありませんし」  少女に聞こえない様に小声でニャン蔵と店主はやり取りをしている。 「さて、どうしましょうか」 いつもは相手を戸惑わせる店主だが、こういった場合は話が別らしい。 「はぁ」  ニャン蔵や店主の言う「面倒な客」と言うのは、こういった「自分がどうしてここに来てしまったのか分からず泣いてしまっている相手」の事を指す。  この間の客は何となく「死んでも仕方ない」と、どことなく分かっていた感じだったが、今泣いている少女は確実に違う。  しかし、こういった客の方が実は結構多い。それくらい「突然」で死んでしまう人が一定数いるのだ。  日頃いくら注意していたとしても……だある。それを考えると「あまりにも現世は理不尽だ」ニャン蔵は思う。  その上、目の前にいる少女はパッと見ただけでも小学生くらいで、ランドセルが似合いそうな風合いだ。 「しかし、泣いているだけで癇癪(かんしゃく)を起こしたり怒鳴ったりしないだけマシなのでは?」 「……そうだな」  店主の言葉に同意した。しかし、こういった客もいるのは事実で、そういった客の対応はとにかく骨が折れる。 「さて」  ニャン蔵はここがどこなのか分かっていないのか、泣き止んではいるモノの、不安そうにこちらを見ている少女へと近づいた――。
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