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「あっ、あの」
「ああ。そうか、お前さん。自分が今どういった状況なのか分かっていないのか」
猫は「ようやく納得した」といった様子で隣のイスに飛び乗る。そして、ここが『夢色』という食事処だという事とここが『天国』だと言う事を教えてくれた。
「まぁなんだ。人にはそれぞれ『思い出の味』ってモノがあるんだろう? それを食べながらちょっと現世の話しでもしようじゃないかって事だよ」
猫はそう言うと、軽く伸びをする。そして、店員も「そういう事です」と言って穏やかな笑顔を見せる。
「えと、それじゃあ。いただきます」
そう言って両手を合わせ、目の前の料理に手を付ける――。
「ん、美味しい!」
「良かったな」
「良かったです」
目を輝かせながらそう言うと、店員も猫も嬉しそうに笑う。
ぜひ一度お立ち寄りください。生前、あなたが大切にしている思い出の料理や味がきっと出てくる事でしょう。
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