3人が本棚に入れています
本棚に追加
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……」
店内はごく普通の定食屋といった少し古い感じだ。
「どうかされましたか?」
「いっ、いえ」
この店内を見た瞬間、どことなく「懐かしい」という気持ちになった。
「あっ、あの。私、実はあまり……」
「あ、大丈夫です。メニューは『オススメ』だけですので」
そう言って「店主」の男性は颯爽と店内へと姿を消す。
「そっ、そうじゃなくて……」
あっという間に姿を消した男性に向かってそう言ったけど、当然男性の耳には届いていないだろう。
「だから言っただろう。店主は人の話を聞かないんだ」
「そうみたいね」
「なんだ、もう慣れたのか。ワシが話をしていても」
猫は「つまらん」と言わんばかりに不服そうな顔を見せる。
「こう見えて社会人生活長いんで」
「ふむ、そうか。そういえば、自分が死んだ事も随分すんなり受け手入れいた様だな」
「まぁ、ああいう生活をしていればいつかは……って思っていたし」
「そうか、ちょうど店主が準備をしているところだ。暇つぶしがてら少し話してみないか?」
「……そんなに面白い話じゃないわよ」
そう言いつつ、私は自分の人生を改めて振り返る様に話し始めた……。
最初のコメントを投稿しよう!