春 祖母の野菜炒め

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◆   ◆   ◆   ◆   ◆ 「……」  店内はごく普通の定食屋といった少し古い感じだ。 「どうかされましたか?」 「いっ、いえ」  この店内を見た瞬間、どことなく「懐かしい」という気持ちになった。 「あっ、あの。私、実はあまり……」 「あ、大丈夫です。メニューは『オススメ』だけですので」  そう言って「店主」の男性は颯爽と店内へと姿を消す。 「そっ、そうじゃなくて……」  あっという間に姿を消した男性に向かってそう言ったけど、当然男性の耳には届いていないだろう。 「だから言っただろう。店主は人の話を聞かないんだ」 「そうみたいね」 「なんだ、もう慣れたのか。ワシが話をしていても」  猫は「つまらん」と言わんばかりに不服そうな顔を見せる。 「こう見えて社会人生活長いんで」 「ふむ、そうか。そういえば、自分が死んだ事も随分すんなり受け手入れいた様だな」 「まぁ、ああいう生活をしていればいつかは……って思っていたし」 「そうか、ちょうど店主が準備をしているところだ。暇つぶしがてら少し話してみないか?」 「……そんなに面白い話じゃないわよ」  そう言いつつ、私は自分の人生を改めて振り返る様に話し始めた……。
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