未来からの手紙

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あの頃の自分へ。 「元気ですか?」 と問いかけてみても、 そんな言葉は耳に届かないかもしれないし、 ただの文字の羅列として受け取られるだけかもしれない。 そう、あの頃の自分は、 完全に心も身体もボロボロに疲弊しきっていた。 暗闇の中を、合っているのかそうでないのか、 それすらも分からず、毎日もがいていたと記憶している。 医者やカウンセラーからのアドバイスはいつも、 「眠ること」 を意識的に行うことを受けていた。 そしてまじめな自分は、 その指示をできるだけ忠実に計画通り行うことで、 自身を保つ努力をしていたような気がする。 ただ一つ、退職してしまった今の自分が言えること、 それは、 「そのがんばりを続け、ありのままの自分を受け止め、 生きていくことが、きっと自分の糧になるということ。」 あの時節の悩み・苦しみ・もがいた経験があったからこそ、 今こうして自分がここまで生きてくることができたのだと、 感じられるからだ。 その後の人生でもいろいろあったが、 今こうして手紙を書けるほどに落ち着いているのは、 あの頃、あのタイミングで起こった出来事に、 自分ががむしゃらに頑張ったからだと信じている。 今はあるがまま、そのままの自分のままで生きて欲しい。 そうでないと、退職した自分が存在しようがないから。 「ああ、あんな時もあったんだなぁ。」 と思えるくらいの思い出にきっとなるから、 気張らず、なるようになると思って、今は過ごしてほしい。 退職した自分より。
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