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やはりにたにたと笑いながら。
俺はさらにペースを上げた。
女の笑いが大きくなったような気がした。
そしてまだ真横を走っている。
もう心臓はばくばくだ。
一瞬レースを止めてしまうことも考えたが、俺のプライドがそれを許さなかった。
数回ほど本気で死ぬかと思ったが、そのままゴールまで走り続けた。
ゴールした時も女は俺についてきた。俺はそこで倒れこんだ。
そして周りを見たが、ついさっきまで俺の横にいたはずの女は、どこにもいなかった。
俺は結果、九位だった。
後で親や友人が俺の走る姿を撮った動画を何本かみたが、それらのどこにも女の姿はなかった。
終
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