もう少しだけ一緒に

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「ノ…… ノっ君? え? ノっ君?! 」  ペットロスが酷すぎてとうとう幻覚を見る様になってしまったのか。医者が必要になってしまったのか。 「うんっ! 」  やばいやばいやばい、これはいよいよ深刻だ。居もしない者が見えて聞こえるはずの無いものが聞こえる。 「恵子さん、そんなにびっくりしないでよ!いやだなぁ、ずっと一緒だって言ったのに―」 「まって、ああ、こんな幻覚に支配されてしまう程私は病んで……」  だが幻覚でも良いから居て欲しいと思う自分がいる。 「あのね恵子さん、実はね?Livey達の間でね?僕達お薬に入れられて飼い主に会えなくなっちゃうってお話が広まっていたの。だからね、そんなの嫌だなって思うLiveyが集まって相談したんだ」 「あなたは幻覚よ、だって、だってLiveyは…… データでできていたのよ」  自分に言い聞かせる様に恵子は漏らした。 「最初はね?何匹かだったんだけど、飼い主と別れたくないLiveyはいっぱいいてね?どんどん大勢で相談する様になってね?そうしたらね?飼い主が居なくなっちゃったLivey達もね?飼い主がいない辛さが分かるからって協力してくれてね? 」 「何の話をしているの?ノっ君…… 」  視界の中のLiveyはぴょこんと飛び降りる様に立つと、目視50cm先辺りに立っている様な大きさになった。
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