もう少しだけ一緒に

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 運営側も使い続けているユーザーの気持ちに応えようと新たな試みを温め、今までと別の方法でのサービス提供や、新たなエンジンへの移行を何とか試みている事を発表した。いやそれをもって上司に直談判していると言うものだった。  そしてそれは、さりげなくプロジェクトしての規模がかなり縮小され、現在のサポートメンバーが非常に少ない事と、上部からは切り捨てられる可能性が濃い事が垣間見える結果でもあった。  これを希望ととる者と絶望ととる者は半々だった、だが、そうなっても使い続ける数少なくなってしまったユーザーの思い、そして提供スタッフのそれもただ一つだった。  もう少しだけ、もう少しだけ続けさせてほしい。  新たな環境に移行する事が出来るまでの間、その間だけ続けられればあるいはその先が見えてくるかもしれない。  しかし現実問題、膨大に膨れ上がったLiveyの個体データの移行や、互換性の無いシステムエンジン同士で同データをやり取りする方法などは技術的に非常に困難なものだった。  それゆえ完成までスタッフは待たなかった。  頓挫するなどと上部に思われれば即切り捨てられる恐れがあった。移行可能だと認めてもらわなくてはならなかった。それはユーザーも分かっていた。  それゆえ試験的に導入されたバージョンがどれほど稚拙であっても落胆よりも希望を感じた。
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