もう少しだけ一緒に

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 新しいシステムでこれまで飼って来たLiveyが動き、エサを食べ、他のユーザーとチャットが出来る。ただこれだけの状態で世に出たそれは、他の事は何もできなかった。  運営スタッフは随時これまでに出来ていた事を出来る様にしてゆくと、だからもう少しだけ待ってくださいとユーザーに呼びかけた。  もう少しだけ、もう少しだけ待てばLiveyは復活する、大切な我が子が居なくなったりしない。愛着あるユーザーはそう信じて使い続けた。  新たなシステムで動くそれは検索もできない、ネットの閲覧も出来ない、Liveyを散歩させる事もできない、ほぼエサを与えるだけの、そして無理やり同期させた弊害として他のアプリの動きまで阻害する程リソースを消費する嫌がらせの様なアプリであってもだった。 「いいの、いいのよノっ君、今はそれでも、またあちこちお散歩行きましょう。楽しい事いっぱい見つけようね」  画面を楽しそうに跳ねているはずのオカメインコはスローモーションで間延びし、こちらの問いかけに対してもレスポンスまでに3秒ほどのラグさえあった。  もう少しだけ、もう少しだけ待って、そしてアプリが完全に新しいシステムで稼働できるようになれば以前と同じ様に、もしかしたらもっと快適になるかもしれない。ノっ君が出来る事が増える事もあるかもしれない。  恵子は祈る様な気持で画面の中の家族を撫でた。  目を細めるノっ君は呆れるほど動きが遅く、そして常駐ソフトが抗議するかの様にエラーを出していた。
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