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続くはずだった、そう言う動きがあったのは事実だし、実際にその一歩は踏み出されていたのだ。だがきっと発覚してしまったのだろう。
実用的なレベルにまで移行させるのは不可能だと言う技術的な壁が。
かつて犬を飼っていた事がある。だからペットロスがどれほど残酷なものなのか身をもって知っている、あれが繰り返されるなんて、しかもノっ君は体の不調は一切無いし、落ち度も何もないのだ。
「こんなの嫌だ、こんな人間の都合で、そんなのってない」
気づけば涙を流してしまっている、意識している訳でもないのに来るべき日を思いそうしてしまっている。そんな飼い主を罪の無いLiveyは心配そうに見上げ、思いついた様に面白そうなサイトを提示して来る。
健気なペットに何をしてあげられるのか分からない、この先彼らがどうなってしまうのか彼らは知っているのだろうか。
運営は名目上、『Livey達はいつか飼い主の所に戻るまで特別な培養液に浸され復活の日を待つ事になります』とアナウンスをした。
サービスの再開など、まずないだろう、そしてデータの引き継ぎが出来ないからこそ今回のような事態になったのではないか。
「ノっ君、私ね、ノっ君が大好きなのよ。知ってる?いつも一緒にいたいのよ。ずっと、ずっと一緒にいたいんだよ。これからも、これからもずっと、ずっとなのよ」
オカメインコによく似た疑似生命は目を無くして微笑んだ。そして体中を使ったその動きで「僕もだよ!」と答えた。
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