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「──この男の子が、2人目のサンタさんの正体。つまり……僕だ」  紗奈がその言葉を理解するのには、長い時間がかかった。 「僕って……一ノ瀬さん⁉︎」  想像を遥かにこえる回答に、紗奈は思わずガタッと椅子をずらしてしまう。 「それ、どういうことですか……?」  紗奈が聞くと、律希は首を傾げた。 「あれ、川野知らなかったの? 僕の父も瑞穂さんの会社で働いてたって」 「それは知ってます。一ノ瀬弓月さんですよね?」 「そう。だから、手袋をくれた『会社の人』は弓月だよ」  そこまでは理解出来たが、さすがに目の前の先輩が18年前のサンタさんだというのとは繋がらない。 「一ノ瀬さん、その時何歳ですか?」 「小3? 確かそのくらい」 「その頃、私たち会ったことありましたっけ」 「無いよ。直接会ったのは、川野がFTT(うち)に入社して来た時だから。それまでは、SIX STORYのお嬢様と一介の社員の息子に接点は無かった」  律希が言うと、紗奈は少し嫌そうな顔をする。 「私はお嬢様じゃなくて、社長の妹の娘です」 「細かいな。別にいいじゃん」 「お嬢様、嫌いなんですってば」  紗奈が本気で主張するので、律希は肩をすくめた。 「分かったよ。でも、実際僕と川野に接点がなかったのは確かだよね」 「はい。だから、何でプレゼントなんて……」 「それは単に、『サンタさんになりたかった』かなぁ……」
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