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Ⅲ
秘密の作戦会議から一週間。待ちに待ったクリスマスイブの夜に、紗奈と陽介はまた、ベッドから抜け出していた。
「……じゃっじゃじゃーん! これ、マフラーでーす!」
「すごい! 可愛いね……!」
陽介が広げてみせたマフラーは、瑞穂が欲しいと言っていたデザインによく似ている。どうやって手に入れたのかは分からないが、紗奈はささやき声で兄を称賛した。
「ということで、今からこれを可愛い袋に入れて、リボンを結びます」
陽介は器用な手付きでラッピングをする。紗奈はその様子を見て、慌てて自分の机からカードを取り出した。
「陽兄これ! カードも中に入れてよ」
「おっ、紗奈すごい! 素敵なカードだね」
陽介もまた、妹の書いたカードの出来に称賛の声を上げる。
2人は綺麗なプレゼントを作り上げ、静かにハイタッチをした。
「よし。じゃあ、これを今からお母さんの寝る部屋に置きに行きます。これは、陽兄サンタに任せてね」
少し不服ながらも、紗奈は兄の指示に従う。
陽介は、まだリビングでと喋っている朝陽と瑞穂の目を盗んで、2階の2人の寝室に忍び込む。そして、枕元にプレゼントを置くと、またこっそりと戻って来た。
「……任務、完了!」
「ごくろうさまでした。サンタさん」
「紗奈サンタさんも、お疲れさま」
2人の小さなサンタクロースは、そう言って笑い合うと、「おやすみなさい」と言い合って、眠ることにした。
……2人にも、今夜は本物のサンタクロースがやって来る。
眠らないと来てくれない彼にプレゼントをもらうため、2人は頑張って眠りに落ちた。
静かな子供部屋に、窓から月明かりが差していた。
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