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「──そんな感じで、私たちは『サンタクロース作戦』を無事、遂行することができたんです!」  紗奈がそう語ると、律希は小さく手を叩いた。 「なんか……本当に、可愛いね。陽介さんも川野も」 「小学一年生と六年生でしたから。あの頃は純粋でしたよ」 「あの頃はって……」  律希はなぜか少し笑う。 「川野は今も結構純粋だと思うよ。その頃と大して変わってないんじゃ無い?」 「えっ……それは、褒め言葉ですか? それとも、馬鹿にしてます?」 「もちろん褒めてる」 「……嘘ですね」  律希は「違うってば」と首を振る。そして、一度水を飲むと、 「それで、瑞穂さんは喜んでくれた?」  と続きを促した。 「母はもちろん喜んでくれました。でも、この件は、私にはまだ謎が多いです」  紗奈はそう言って、考え込むように首を傾げた。 「結局、兄はどうやってマフラーを手に入れたんでしょう? それに、あの年のクリスマスにはもう一つ謎があるんです」
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