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自動ドアの前に立ち、店内を確認すると同時に一歩退いてしまった。
開いたドアから出てきたのは、イケメンの大学生風の男とうちの学校の制服を着ている女子。
「委員長」、「成見君」声が重なった。
紛れもないクラスメイトで委員長こと御山香菜だ。
お馴染みのセミロングの黒髪のストレートに額を斜めに前髪が走り、丸みを帯びた大きな瞳に下部の涙袋が目立つ、ちょっと童顔の女子。
何か、気まずい場面に出くわしたかも、放課後デートの最中?。
この事実を知ったら、ショックを受ける奴が何人もいるだろう、三多摩高の不沈艦の異名をもつ委員長に彼氏がいたとあれば。
「成見君もこのお店使ってるんだ」
「ネットを見てたら学校の近くに美味しいパン屋あるって載ってて、部活もないし、たまには良い趣味してる内装の店にでも行こうかと思って」
焦りながらも冷静を装おって、店内を見渡す。
「ゴシック様式だね」
「そうそうゴシック」
適当に相槌をうつ。
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