ーーーーーーーーーー松田side

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ーーーーーーーーーー松田side

「んもぉ~いつもいつもいーっつも、松田くんは私をドキドキさせる天才なんですよぉ」 「水野さん……めっちゃ酔ってる」  美味しい、美味しいとペロリと料理を平げてくれ、軽いおつまみをローテーブルに運び、ソファーに座り直す。ワインを飲むペースが早いんじゃないかと思っていたら案の定彼女は酔っ払っていた。  酔っているからか頬はほんのり赤く染まり目も潤んでいる。この前の飲み会の時もそうだったが自分の太腿に手を挟んでいる。もしかして寒いのだろうか? 「水野さん、寒い?」 「んん~私お酒飲むと寒くなっちゃうのよねぇ」  知らなかった。寝室からブランケットを持ってきて彼女にかけ、隣に腰を下ろした。 「ありがとぉ、んふふ、松田くんの匂いする~」 「んなっ……」  ニコニコしながら俺のブランケットの匂い嗅いでるとか可愛すぎる……こんな姿シラフの彼女じゃ絶対見せてくれないだろう。いやむしろ誰にも見られたくない。 (橅木さんの前では酔ったりするのかな……)  どさくさに紛れて身体をくっつけて座ってみたが全く抵抗されない。でもそれはきっと酔っているからだろう……  ブランケットの下にあった彼女の小さくて柔らかい手を探し当てギュッと手を握る。……抵抗されない。 「水野さんの酔っ払い」  ちょっと強めな口調で言ってみたけど、酔ってる彼女には全く意味ないみたいだ。 「……酔ってないれすよ~だ」   (よーだって、可愛すぎんだろ) 「大体松田くんはドSすぎなんですよ、急に手ぇ触られたらドキドキするでしょー」 「いっつも眼鏡らのに今日はコンタクトとかぁ、かっこよすぎて……まだまらいっっぱいあるんだからね!」 「あーまじで可愛すぎますよ」  嬉しすぎて、可愛すぎて、好き過ぎて、彼女をグッと引き寄せ優しく抱きしめた。細くて折れそうな華奢な身体なのに、柔らかい。 「んなっ、ほほほほら、こーやってまた年上をからかうんだからっ」 「からかってないよ」  どうすれば信じてもらえる?どうしたら本気で好きって伝わる?どうしたら貴女は俺の物になる? 「好き」「好きだ」「愛してる」何回でも何億回でも言う。  愛してる、そう思いを込めて彼女の小さく柔らかい唇にそっと触るくらいのキスをした。 「水野さん、好きです」 「……うん」 「まだ酔ってる?」 「ビックリしすぎて酔い覚めた」 「じゃあもう一回言うよ、水野さん、好き」 「……うん」 「付き合って」 「……まだ……分かんない」 「今日で少しは好きになってくれた?」  彼女の顔を覗き込むように見るが、プイッと視線をずらされて目を合わせてくれない。 「……す、少しだけならっ」   (少しでも一歩前進だな) 「なら良かった、水野さん、好きだよ」 「んなっ、わ、分かったから! もう少し待ってっ」 「お願いしますよ、じゃあそろそろ送っていきますよ」 「……うん」  本当は今すぐにでも抱きしめて唇が溶けるんじゃないかってくらい深いキスをして、身体中にもキスをして体の隅々まで愛してとろとろに蕩けるまで抱きたい。  でもこれ以上一緒にいたら理性が吹っ飛びそうだったので彼女のを送って行くことにした。  少し気まずいのか彼女の口数が減った。でもそれでいい、少しでも俺の事を気にして考え欲しい。 「水野さん、今日はすごい楽しかったです、また会社で」 「私も今日は楽しかったわ、じゃあまた」 「水野さん」 「な、何?」 「好きだよ」 「んなっ! 分かったから! 早く帰りなさいっ」 「ははは、いつもの水野さんだ、じゃあまた」  「もうっ」とプンプンしながら彼女は部屋に入っていったのを見送り車を走らせ自宅に戻った。 「……楽しかったな」  夢のような時間だった。さっきまでこのソファーに彼女が座っていたなんて。お詫びにデートとか言ったが本当はただデートがしたかっただけなんだ。
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