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 寝室に入るとオレンジ色の西日が窓から差し込み、なんとも卑猥な雰囲気を纏っているように見えた。  二人並んでベットに腰を下ろすと、松田くんは私の頭を右手で抱えゆっくりとベットに私の背をつけた。下から見上げる松田くんを見てハッと我に帰り、自分はセカンドバージンな事を思い出してしまった。 (ど、どうしよう……今更断れないし……でも痛いかもしれないし……) 「あ、あの、わ、私、そ、その……」 「どうしました?」 「せ、せ、セカンドバージンなのっ!!!」  勇気を振り絞り自分はセカンドバージンだと打ち明けたら松田くんは最初キョトンとした顔を見せ、直ぐに満面の笑みで「真紀が蕩けちゃうくらい優しく抱きますから」と私の額にチュッと軽くキスをした。  それがすごく私の心を軽くして、安心させてくれた。  緊張していた私を言葉の通りトロトロに蕩けさせ、ほぐすように全身にキスを落とし、私は完全に身体から力が抜け全てを松田くんに委ねた。 「真紀っ……くっ……」 「あっ……んッ、ま、つだくん……」  何度も何度も私の名前を呼ぶ松田くんに何度も何度も私の心臓はドキン、ドキンと反応し途中からは何が何だか分からなくなるほど松田くんの余裕のない声に、熱く汗ばんだ肌に、グズズクに私は蕩け果てた。  いつの間にか窓の外は暗くなり、少し視界が悪くなり助かった。  これがいわゆる賢者モードってやつなのだろうか。冷静になると異常に恥ずかしくて松田くんの顔が見られない。布団に潜り込む。 「真紀、大丈夫?」 「ん、大丈夫」 「水持ってくるから待ってて下さい」  松田くんが寝室から出て行った隙に急いで脱いだ、いや、脱がされた服を着直す。  久しぶりすぎて痛いと思っていたのは考えすぎだったみたいで、痛みなんて一切なかった。むしろ気持ちが良い、それしかなく、もしかしたら松田くんがテクニシャンだっただけかもしれないが…… (そういえば初めてキスされたときも腰が抜けるかと思ったのよね)  服を着終わると同時に寝室のドアが開きギリギリセーフで松田くんに裸を見られずにすみホッと胸を撫で下ろす。  松田くんはまだ上半身裸だがいつの間にかスウェットは履いていたので、なんて早技だと感心してしまった。  さっきは松田くんに食らい付いていくのに夢中でよく見ていなかったがやっぱり松田は引き締まった身体に程よい筋肉……  いつものスーツ姿からは想像できない肉体美につい目がいってしまう。 「あの……水飲みます?」 「っあ、ごめん、飲みます飲みます!」  隣に座った松田くんから水の入ったコップを受け取りゴクンと一口飲む。  カラカラの喉に染み渡るように水が喉を通り潤いを取り戻した。  ベット横のサイドテーブルに置いてある時計を見ると夕方の六時。 「暗くなったと思ったらもう六時なのね」 「ですね~夜ご飯でまだ時間あるし……」 「え? ひゃあっ!」  右耳をカプっと甘噛みされ変な声が出た。 「ちょっと! んんっ……」  クイッと顎を上げられあっという間に唇を奪われた。まだ自分に余韻が残っていたのかキスをされただけでお腹の底がズクンと疼いてくる。 「真紀が可愛すぎて我慢できない……」 「えっ、ちょっと……あッ……」  せっかく着直した服もあっという間に脱がされ下着姿になってしまった。グッと布団を引き寄せ身体を隠すも「見せて」と布団を剥ぎ取られ肌が露わになる。 「綺麗です……」 「っつ……見ないでよ……」 「もう一回全部見ちゃってますけどね」 「んなっ……」  私の唇に落とされた松田くんの柔らかい唇がまたも蕩けてしまうほど気持ちが良い。  松田の首に腕を回し自ら松田くんを求めてしまう。 「ねぇ、それ分かっててやってます? もう止められないですよ」 「……止めなくて……いい」  お互いが吸い寄せられるように何度もキスをし、もう一度私達は身体を重ねた。  ぼんやりと意識が戻る。いつの間にか寝てしまっていたのかゆっくりと瞼を開くと、カーテンの隙間からの月明かりが私たちを照らし、松田くんの表情がよく見えた。とても穏やかな顔で私の頭を撫でながら見つめていた。  好き……その気持ちが更に大きく膨らんだ。 「起きました? もう八時になっちゃいました」 「……お腹すいた」 「ですね! 夜ご飯作ってますからゆっくり来てください」  お言葉に甘えてゆっくり服を着てリビングに顔を出すと、もう既にいい匂いが鼻に通り抜けお腹がグゥ~っと鳴ってしまった。 「いい匂い! 何作ってるの~?」 「これはサイコロステーキ焼いてます、あとは野菜たっぷり味噌汁を煮込み中なのと、ご飯は急速炊飯中」 「最高ですっ!」  ステーキが楽しみすぎてルンルンでダイニングテーブルを拭き、箸を置き、グラスを用意した。 「出来ましたよ~」と大根おろしがたっぷりのったサイコロステーキがテーブルに運ばれてきた。艶々の白米に野菜がたっぷり入ったお味噌汁。  早く食べたくてまたお腹がグゥ~と鳴る。 「ははは、真紀のお腹の音可愛すぎ」 「聞こえた!? 仕方ないじゃない! 美味しそうなんだもん」 「さ、食べましょう」  向かい合いテーブルに座り頂きますと手を合わせ、まずはお味噌汁、ホッと胃が温まり野菜の優しい味が口いっぱいに広がる。 「本当美味しい!」 「良かったです、お代わりありますから」  わーい! なんて喜んでいたらピンポン、ピンポンと連続でインターホンが鳴る。嫌な予感。 「……誠」 (え……?)
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