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 松田くんの低くて聞きやすい低音ボイスで名前を呼ばれ身体がピクリと反応してしまう。  松田くんは綺麗にラッピングされた小さな箱を差し出し、ふにゃっと目を細め笑い「メリークリスマス」と私の手のひらにそっと小さな箱を置いた。 「え……」  驚きを隠せず目を見開いて小さな箱を眺めている私に優しい声で「開けてみて」と微笑みかける松田くんに胸がキュンとした。  「ありがとう」と受け取り丁寧にラッピングをほどき小さな箱を開けるとその中にはきらびやかに輝いている小さなダイヤモンドのネックレス。 「え……可愛い……」 「真紀に似合うと思ったんだ、付けてあげる」  私の胸元に小さいのに一際光をきらびやかに放つダイヤモンドのネックレス。  胸が熱くなり涙が出そうになるのをグッと堪えた。 「本当にありがとう、嬉しい……あの、私もプレゼント用意してあるの」  鞄の中にずっと潜めていた箱を取り出し「メリークリスマス」と松田くんに差し出した。  自分も貰えると思っていなかったのか松田くんは一瞬驚いた顔をしたが、パァと明るい笑顔になり「ありがとうございます」とニコニコしながら箱を開けると目を潤ませ泣きそうな顔で「ピアス……嬉しいです」と微笑んだ。  つけていた金のピアスを外し私のプレゼントしたダイヤのピアスを片耳につける松田くんの動作がなんだか嬉しい。  目の前で自分のプレゼントしたものを身につけてくれるとなんだか私の印を付けてくれているようで嬉しさに満ち溢れる。 「似合います?」 「う、うん、似合ってる」 「ダイヤ被りになるなんて、奇跡ですね!」 「本当ね」 「……あの、明日は会社休みだから泊れます?」 「ええ、大丈夫よ」 「意味分かってるよね?」  ギュッと手を握り立ち上がる松田くんに、もちろん意味は分かっている。無言で松田くんに寄り添い寝室まで手を引かれ、二人でドサっとベットに倒れ込んだ。 「今日のドレスすっごく似合ってます、でも汚れちゃうといけないから脱がしちゃいますよ?」 「い、いいわよ……」  スルリとスカートの下から松田くんの熱い手のひらが太腿を撫でる。いつの間にか脱がされ肌が露わになり恥ずかしくて手で隠すが一瞬で手を剥がされた。 「真紀……この下着めっちゃ可愛い、似合ってます」  誠と一緒に買い物をしたときに買った黒の下着を今日はつけていた。 「恥ずかしいからあんまり見ないでっ、んっ……ふっ……」  松田くんの舌が容赦なく私の舌を捉えては絡みつく。ゆっくりと上顎をなぞられ身体がゾワゾワとする。 流れ入ってくる彼の唾液は媚薬のように私の身体に流れ込み身体を熱くさせ、無意識に私は膝を擦り合わせていた。  熱い視線の松田くんと目が合い心臓が騒めきだす。  シュッとネクタイを外す仕草が色っぽく目が逸らせない。 「なーに見てんの?」 「み、見てないわよっ! んぅ……あっ……」  松田くんの柔らかい唇が唇から首、首から胸へと移動し私の身体は彼によって溶かされた。 「っつ……真紀ッ……好きだ」  私は彼の気持ちが良くて苦しそうに出す甘い声が好きだ。 「ああっ……んんっ……私もッ……すっ、ンァ……好きッ」 「っつ……真紀の好きってっ……くっ……ヤバい、嬉しすぎ」  気持ちはどんどん昂り何度も何度も松田くんに好きだと伝えた。  それに応えてくれるように松田くんも何度も私の名前を呼び何度も好きだと伝えてくれた。  心地の良い身体の疲れを堪能する。汗でしっとりした肌が吸い付くようにピッタリとくっつき松田くんの胸にスリスリと頬を寄せた。 「ん? 甘えん坊さん?」 「たまには私も甘えたいのよっ」  松田くんに出会ってからまだ数ヶ月。  恋には奥手で慎重な私。むしろ恋を知らなかった私にいろんな気持ちを教えてくれた彼。  冷たい態度の私に何度もまっすぐに思いを伝えてくれ気づけば、いつの間にか貴方に夢中になっていた。  松田くんの真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるところが好き。  松田くんのふにゃっとした笑顔が好き。  松田くんの熱く真剣な眼差しも好き。  松田くんの作る料理も好き。  眼鏡の松田くんも、眼鏡を外している松田くんもどっちも好き。  色んな好きがこの数ヶ月で増えた。きっとこれからも増え続けると思う、それと同じで嫌なところも出て喧嘩をする事もあるかも知れない。  そんなのも実はちょっと楽しみだ。    もっと素直になれたら、もっと自信を持てるようになったら、いつかクローゼットにしまってあるあの真っ赤な下着を着けられる時が来るのかもしれない。  朝起きて会社に向かう。  会社のドアを開ければ松田くんがいる毎日にホッと心が温まり、ドキンと今も緊張してしまう。 「水野さん、おはようございます」 「松田くん、おはよう」  パァっと笑顔になり私の元へ小走りで近寄ってくる松田くんを今日も私は「会社だから!」と抱きしめようとしてくる彼からの求愛を拒むのだ。  そう会社だけ私は彼の求愛を拒むのだ。
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