そろそろ受験かぁ

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ

そろそろ受験かぁ

14歳の秋の終わりごろ、僕は受験をそろそろ考えないといけない時期に来ていた。 成績は中の上辺りだった。普通に学校に行けてたら、多分、今頃は……。 中三になると同時に、転校した。 すぐに友達はできたけど、すぐに不登校になってしまった。 理由は、ある登校時に、下級生から因縁づけられて、なんだか怖くなったからかな? そして、そのうちに眠れなくなって、とうとう精神科に入院してしまった。 両親には沢山心配をかけた。たくさんの病院やクリニックを受診しては断られ続け、最後に落ち着いた病院は、あのバスハイジャック事件で有名になった病院だった。 僕が入院した時は、事件が起こる前だったけど、その事件が、起きた時の衝撃は大きい。犯人は僕と似たような年齢だったし、病棟も、ひょっとしたら病室まで一緒だったかもしれない。そう考えると他人事と思えないほど忘れられない事件だ。 その頃からか、精神異常者は責任能力がないから刑が軽くなる、ということに関しての議論が盛んになってくる。未成年の殺人についても。。。 閑話休題。 受験生の僕は、眠れない日が続いた。自室の勉強机の上は片付けられていないまま放置されている。整理整頓ができない。ろくに勉強なんて出来なかった。母は、僕と年の離れた弟や妹の育児と家事で忙しく、父は毎晩夜遅くに仕事から帰ってくる。僕は14歳にもなれば、もうしっかりした兄として、勉強に集中出来ないといけなかったんだ。 そのプレッシャーを余計に感じ続けていたのかもしれない。 入院した時、両親は優しく僕に、ゆっくり脳を休ませなさい。何も考えずに休むことに徹しなさい。と言ってくれていた。 でも、僕は焦っていた。このままじゃ高校にもいけない。いい学校に行って、卒業して、いい会社に就職して、やがて結婚して子供が出来てっていう人生を歩んでいくのに、、、 休むことに徹すれば、回復していつでもやり直しは効くんだと、すぐには理解できなかった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!