1.吉田純平《よしだじゅんぺい》

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 男はアイツではなかった。同じ野球部でエースで4番の高橋晃(たかはしあきら)だったのだ。    声は聞こえなかったが、高橋が百音に告白していることはすぐに分かった。割って入ってやろうかと考えたものの、その前に百音が首を縦に振るのを見て、僕の足はそこから動かなくなった。    終わった。肩を落とす。野球ばかりではなく、この恋愛もゲームセットだ。笑いが漏れた。涙も溢れた。    僕は二人に声をかけることなく、その場を去った。
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